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執行役員CDCO(最高デジタルカー責任者)柴田 英司
今回は、渋谷のSUBARU Lab所長・執行役員CDCO(最高デジタルカー責任者)柴田さんに2025年2月に立ち上がった新拠点についてのお話をうかがいました。
執行役員CDCO(最高デジタルカー責任者)
1989年 富士重工業入社。1998年から一貫して運転支援システムの開発に携わる。2008年に世界初のステレオカメラ単体による衝突被害軽減機能を搭載した”アイサイト”をリリース。現在、AIによりアイサイトを進化させると共に、SUBARUらしい次世代のクルマづくりを探求し続けている
私たちは、「2030年死亡交通事故ゼロ※」という目標を掲げ、挑戦を続けています。この目標を実現するためには、アイサイトにAIの判断能力を融合することが不可欠であると考え、2020年12月に渋谷に「SUBARU Lab」を設立しました。SUBARUは設立以来、自ら考え、自らの手で創造する「内製開発」にこだわっています。LabではAIアルゴリズム、開発システム、AIを処理する半導体の開発も同時に進めていくためIT企業が集まる渋谷に拠点を構え、自動車業界以外からも積極的にエンジニアを採用しました。多様なスキルを持つキャリア人材が加わることで、新たな可能性が生まれています。2024年4月にはAMDとSoC設計に関する協業を開始し、商品化を目指しています。「SUBARU Lab」は研究だけでなく、先行検討・企画から、半導体につながる仕様の策定、量産開発というエンドユーザーに届けるまでのプロセスを一貫して手掛けるのがミッション。この開発の形をLabのメンバー全員で確立できたことが大きな経験であり、成果だと考えています。
SUBARU車 乗車中の死亡交通事故およびSUBARU車との衝突による歩行者・自転車等の死亡交通事故ゼロ
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現在、自動車業界は大きな転換期を迎え、SDV(Software Defined Vehicle)というキーワードに象徴されるよう、ソフトウェアでクルマの価値を上げていく時代へ移行しています。アイサイトのような運転支援システムだけではなく、車両制御、インフォテインメント、サーバーシステムなど幅広い領域で、ソフトウェアの比重がより重くなっていくなかで、SUBARU Labもまた変わっていかなくてはならない。アイサイトの開発をさらに強化していきながら、一方で他の技術領域まで拡張したソフトウェア開発拠点を作る必要があると考えました。それが2025年2月、渋谷スクランブルスクエアに2つ目のLabを開設する大きな理由です。新拠点では、SUBARU Labや三鷹、群馬の既存拠点と連携し、「運転支援システム」、「インフォテインメント/コネクテッド」、「電動制御系の開発」、「ITサービス連携」の4つの領域に注力する計画です。SUBARU Labと同様にIT企業集積地である渋谷、IT開発のど真ん中に開設することで、スピード感を持って多様なスペシャリスト人材の採用や幅広いIT関連企業との協働を行っていきます。
先行検討から量産開発まで一気通貫で携わり、エンドユーザーを想定しながら開発ができるのが、SUBARU Labの魅力。自動車開発は安全性が最重要で、失敗が人命に関わるため開発は非常にシビアで、時間がかかります。私たちは前例のないことに挑戦していますので、正解は誰にもわかりません。多様な技術要素をそれぞれのエンジニアが深掘りし、クルマに自分のソフトウェアを搭載したときに起きる事象と徹底的に向き合う。データを取り、修正する。それを積み重ねることで、だんだんアイデアが製品レベルに近づき、最終的に商品化され、安全に世界中の道を走る。だからこそ大きな達成感が得られると思っています。 SUBARUは、「この技術がクルマに必要だ」というエンジニアのこだわりが強い会社です。お客様にとっていいと思うものを、自分たちで考えて、自分たちでつくる。技術の壁を突破し新しい価値を生み出すのはエンジニア一人ひとりの力。プレッシャーもありますが、面白いから、自分がやりたいからとコツコツ、コツコツとトライアンドエラーを繰り返した結果が正解につながっていきます。
自動運転、SDV、バッテリーEVなど、今まさに自動車技術の過渡期ですので、エンジニアにとって技術を身につける絶好の機会です。新しい技術を生み出さなければならないと時代が動いている、そのど真ん中で身に付けた技術や考え方は、エンジニアのキャリアにとって大きな財産となります。またクルマの開発は世界規模で行われています。同じ商品・技術でも様々な考え方があり、世界を回って多くのエンジニアからヒントをもらって開発に活かす経験もできる、世界へ繋がる仕事になっていきます。 アイサイトの開発時も、ステレオカメラでクルマをダイレクトにコントロールする技術は世界で誰もやっていなかったこと。一人ひとりが得意とする領域で新たな発見をし、それを形にできる。技術の過渡期は、エンジニアにとって、とても面白い時期だと思います。私たちにとってもSUBARU Labは新しいチャレンジ。一緒に新しい時代を切り拓いていきましょう。