SUBARU ビジネスアップデート(2024年11月1日公表) HOME 企業情報 ひとめでわかるSUBARU 新経営体制における方針 新経営体制における方針 アップデート(2024年5月13日公表) SUBARU ビジネスアップデート(2024年11月1日公表) アップデートのポイント 昨今、バッテリーEV(以下、BEV)市場の成長が踊り場を迎えたと言われる中、SUBARUは、BEVはカーボンニュートラル実現に向けた有力な選択肢ではあるものの、その移行スピードは不透明であり、ICE*1系商品の需要も一定程度継続すると考えています。 先行きの見えない変化に柔軟に対応していくためには、従来の考え方・手法を革新的に変えていく必要があり、2023年8月2日に発表した「新経営体制における方針」の中で、BEVを切り口に大変革に突き進むことを発信しました。 一方で、最終的に何を選択するかを決めるのはお客様です。そのための選択肢として、BEVだけではなく、ICE系商品も幅広く用意することこそが「柔軟性」であり、それを実現するために「モノづくり」と「価値づくり」で世界最先端を狙うという考え方は、方針発表当初から何ら変わるものではありません。 その1つの手段として、更地にゼロから生産の構えを構築し、開発の手法・プロセスもゼロからスタートできるBEVに一旦舵を切り、「モノづくり革新」と「価値づくり」を実現し、その成果をICE系商品にも展開します。このようにして市場の変化に対応できる「柔軟性」を身につけること、それが方針のポイントです。 *1:Internal Combustion Engine(内燃機関) 現在、大泉新工場は、環境規制やお客様の受容などの動向を踏まえながら「段階的」に立ち上げることを検討しており、BEV専用ラインとして立ち上げた後に、BEV以外の電動車との混流生産を可能とする生産ラインの構想をしています。またバッテリーの生産工場は、パナソニックエナジーとともに大泉新工場の近接地への建設を予定しています。このように群馬県太田市を中心に近距離圏内に工場が位置するメリットを活かし、お取引先様や部品物流まで含めたサプライチェーンの更なる「高効率化」を図ります。「新しい工場」において「新しい商品」をつくるという新たな試みは、段階的な立ち上げやロケーションメリットの活用などにより、「合理的な生産」や「時代に合わせた適切な投資」を「柔軟」に行うことで実現します。 モノづくり革新 これまでの「開発」を含む「モノづくり」は、時代の変遷とともに、お客様ニーズの多様化やクルマの複雑化などにより対応領域が多岐に渡り、個々の領域の専門化、またお取引先様への業務委託も含めて、開発・製造、そしてお取引先様も合わせた分業が一気に進みました。結果として、前工程の手離れを待ってリレー式にモノづくりを進める手法を定着させてきました。この形は、時代の変化に適応しながら成長する過程において発生した制約に対し、でき得る範囲で効率的かつ効果的に対応してきた結果であると、評価しています。 これからのモノづくりとして、大泉新工場を中心とした取り組みの一端をご紹介します。 従来とは大きく車両構造の異なるBEVという「新しい商品」を企画・開発し、更地にゼロから建設する「新しい工場」で生産を始めるということは、「モノづくり」のアプローチやプロセスを大きく変えるチャンスと捉えており、これらを起点に合理的で高密度なモノづくりを推進し、徹底的に極めていきます。 お取引先様と共に集い、開発・生産など様々な検討を行う「大部屋活動」では、「ひとつのSUBARU化」を推し進め、モノ・物流の流れである「サプライチェーン」と開発の流れである「エンジニアリングチェーン」を一体化した「アジャイル」なモノづくりの検討が進んでいます。 高密度な工場ロケーションやサプライチェーン網、それらを基盤とした物流システム確立などの「高効率なパッケージ」と合わせて「開発手番半減」「部品点数半減」「生産工程半減」を実現します。 「新しい工場」では「生産ラインのモジュール化」や「柔軟なサブラインの構築」、そしてSUBARUが長年突き詰めてきた、小さな工場における「変種変量短生産」の考えに基づく「高効率」な混流生産手法をさらに進化させていきます。 新しい工場は、ゼロから建設する「自由度」を十分に活かしながら、敷地および建屋空間の最大活用も視野に入れて効率化を図っていきます。 同時に、ラインで流れるBEVを始めとした「新しい商品」に関しても企画・設計といった開発段階での「車両構造」や「仕様」のシンプル化による部品点数の大幅削減を進め、「生産工程半減」へ繋げます。 新工場での生産や開発の取り組みに加え、SUBARUとして新たに開発した次世代のハイブリッドシステム「ストロングハイブリッド」の基幹ユニットとなる「トランスアクスル」を製造する埼玉県の北本工場を含めた各種工場の、ロケーションメリットの最大活用や物流効率を極限まで高めることで、リードタイムの大幅な短縮につなげていきます。 これらの活動を、常に進化させ続けることにより、従来以上にお客様のニーズにお応えする商品をより早くお届けすることを目指します。 価値づくり SUBARUは、2024年にフォーブス誌の「社会へ良い影響をもたらす企業ランキング」において、米国内3,000を超えるブランドの中で、2年連続で2位に選ばれました。これは、商品だけでなく、SUBARUの理念や取り組みに対する総合的な評価ですが、その根幹は「安心と愉しさ」という不変の提供価値を具現化するために追求し続けてきた「テクノロジー」にあると考えています。それこそが、世界最先端の「価値づくり」を「安心と愉しさ」を起点にテクノロジーで実現する、とした理由です。例えば、運転支援システム「アイサイト」は、30年以上にわたる開発の過程で「安心」という「価値」を磨いてきました。我々は今後も究極の安全を目指し、お客様にあらゆる運転環境下においても絶対的安心を感じて頂くために、SUBARUの強み領域におけるテクノロジーの進化を加速させていきます。このようなテクノロジーの進化に向けた取り組みのポイントとして、2点ご紹介します。1つ目のポイントは「協業の深化」です。特にBEVでは新たな領域の「価値づくり」が必要であり、その領域については、従来のお取引先様との関係を超えて、いかに協業のカタチをより深化させるかが大切であると考え、取り組んでいます。そしてポイントの2つ目は、「知能化」です。SUBARUらしい「安心と愉しさ」の強化はもちろん、BEVならではの「シームレスでストレスフリー」といった新たな価値を加え、そしてそれらをICE系商品にも展開していきます。 これからの時代に必要となるテクノロジーの進化を加速させるために、クルマの企画段階から想いを共感し、共に開発していくパートナーについて、2023~2024年にかけて公表してきました。軽量・コンパクトなe-Axleはアイシンとの共同開発を公表しました。電動化に向き合うパートナーとして、単なる共同開発の枠に留まらず、調達・生産の領域まで踏み込むことで、両社の強みを活かした競争力あるe-Axleを実現するために、共に歩みを進めています。互いに100年を超える歴史を持つパナソニックエナジーとは、「次の100年をつくり上げるために、互いの技術と知見を持ち寄り、世界最先端の性能とコストを実現する」という大義のもとで、バッテリー供給に関する協業を進めています。新設するバッテリー工場のロケーションメリットやコスト視点も踏まえた両社の様々な知見活用など、競争力を高める取り組みを進めています。世界的な半導体メーカーであるAMDとは、「2030年死亡交通事故ゼロ」の実現にむけて、EyeSightとAI推論の融合に関わる協業について公表しましたが、その協業により実現する最適化されたSoCは、「ADAS」のみならず「車両運動」領域などを制御する「統合ECU」の重要な構成要素を担います。これらの「協業の深化」により、世界最先端の“安心と愉しさ”の実現を目指していきます。 「統合ECU」はSUBARUの強みである安全や走りの領域に絞り込んだ「内製開発」により、コスト競争力を保ちつつ、車両の「頭脳」として、SUBARUらしい高度な「知能化」を実現します。このような「統合ECU」を活用した制御ノウハウや、BEVをつくりあげる過程で得た知見を蓄積をするとともに、得意とする内製化のスピードをさらに高め、ICE系商品への活用および実装も踏まえて検討を深めます。時代ごとに求められる、SUBARUらしい魅力的な商品を提供する事により、より多くの皆様に価値としてお届けしていきます。 投資計画と資本政策 今後、経営環境の様々な変化が想定される中でも、前述の各取り組みを確実かつ最適なタイミングで進めていくために、なによりもまずは、経営基盤となる「財務健全性・安定性の確保」が必要と考えています。そして、世界最先端の「モノづくり革新」と「価値づくり」に向けた「成長投資」と「株主還元」に適切に配分していく考え方は、これまで通り変わりません。「成長投資」に関しては、市況高騰の影響も含め、2030年頃までの投資総額1.5兆円について、現時点では不変としていますが、合理的かつ時代に合わせた適切な投資を柔軟に行います。 SUBARUはこの100年に一度と言われる大変革期の中、「モノづくり革新」と「価値づくり」を推し進めます。開発・生産の工程はもちろん、事業活動全体の効率化・生産性を突き詰め、商品競争力を磨き、SUBARUらしいアフォーダブルな商品として提供することで「お客様に感じていただける価値の最大化」に取り組みます。2030年以降に向けてそれらを実現することにより、「業界高位の収益力」を維持し、勝ち残っていきます。 大泉新工場コンセプトムービー 関連ニュースリリース SUBARU ストロングハイブリッドを発表 https://www.subaru.co.jp/news/2024_10_17_132911/ SUBARUとパナソニック エナジーの車載用円筒形リチウムイオン電池の供給ならびに国内電池工場新設の計画について https://www.subaru.co.jp/news/2024_09_06_153018/ SUBARU、トヨタ、マツダ、カーボンニュートラル実現に向け、電動化時代の新たなエンジン開発を「三社三様」で宣言 https://www.subaru.co.jp/news/2024_05_28_184137/ SUBARU 米フォーブス誌「Best Brands for Social Impact」に2年連続の選出 https://www.subaru.co.jp/news/2024_04_26_160350/ SUBARUとAMD、ステレオカメラとAI推論処理を融合するSoC設計に関する協業を開始 https://www.subaru.co.jp/news/2024_04_19_154136/ 「新経営体制における方針」に戻る