昨年、ケガで2人の主力を欠いたSUBARU。今季、その2人が戻ってきました。 4番・山田知輝(ともき)選手㉖と、投手陣の柱を担う阿部博光投手㉙です! 本日は、阿部投手についてご紹介します。
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阿部投手は抜群の制球力が魅力の左腕です。 大きな期待を背負って2019年に入社しましたが、直後に左ひじを痛め、昨年はリハビリに専念。登板機会がありませんでした。
「あの日」のことは忘れられません。2019年5月31日、茨城・日立市民球場(日立市民運動公園野球場)で行われた都市対抗2次予選の北関東大会の一戦です。 第1代表決定トーナメント戦の準決勝、日立製作所戦に先発しました。勝てば東京ドーム出場に王手がかかる大事な一戦。 度胸満点の阿部投手は、新人ながらそんな大事な試合のマウンドを任されたのです。
ところが一回裏、3番打者と対峙した場面で異変が起きました。 カウント2ボール2ストライクからファウルで3球粘られた後、8球目を投じた際に左ひじに激痛が走ったのです。 「それまで感じたことのない痛みでした」と阿部投手は振り返ります。 不安に駆られながらも投球を続行し、2球を投げて打者を四球で歩かせました。 そして4番打者に1球目を投じると、再び激痛に襲われました。 実は阿部投手は体が頑強。学生時代はけがとほぼ無縁でした。 予想外の事態に頭の中がパニックになり、気づいたらベンチ裏にいたと言います。タイムもかけずにマウンドを降りていたのでした。
結局、左ひじを手術。手術後は、左ひじの可動域を広げるストレッチ運動、筋肉を回復させるためにスポンジボールを握るなど1日3時間、地味なメニューをこなすだけでした。
大舞台のマウンドに立っていた期待のルーキーが、一転してリハビリ生活へ。 あまりの落差に阿部投手は、 「めちゃくちゃ落ち込みました。そして手術をした後は、気持ちが激しく浮き沈みしました」と振り返ります。 モチベーションも、保ちにくくなりました。
そんな阿部投手に、冨村優希監督はあえて厳しく接しました。 リハビリに加え、走り込みと、裏方としてのチーム練習の手伝いを、ノルマとして課したのです。
「エースとして戻ってきてほしいとチームのみんなが思っていた。ケガで練習ができない時こそ、走り込みや練習の手伝いをして、一生懸命にやる。そうすれば、復帰した時に選手たちが、試合で(阿部投手のために)やってやろうという気になる」と明かします。
落ち込んでいた阿部投手ですが、だんだん、持ち前の負けん気が頭をもたげてきました。『どうせやるなら頑張ってみよう』という気になってきたんです」と気持ちを立て直したのです。 前向きな気持ちになると「監督の気持ちが、急に理解できるようになりました」。納得できた阿部投手は、地味な練習も、裏方の仕事も真摯に取り組みました。 2020年1月にはキャッチボールを開始。今年2月からは本格的な投げ込みを始めました。
阿部投手は4月に行われたJABA日立市長杯準決勝の日本通運戦で、約2年ぶりとなる先発マウンドを踏みました。 一回に1アウト満塁から犠牲フライで1点を失うも、二回以降は走者を出しても要所を締めて追加点を許しませんでした。 6イニングを投げ、被安打4、3四球、奪三振4、失点1。先発投手の責任をしっかりと果たしました。 これまで公式戦4試合に登板し、13イニングを投げて失点2、自責点0で防御率0.00と安定したピッチングを見せています。
左ひじに痛みもなく、もう不安はありません。
阿部投手は最速145キロのストレートに加え、ツーシーム、カーブ、スライダーなど多彩な変化球を操ります。最大のセールスポイントは、内外角の厳しいコースを狙える抜群のコントロールです。ストライクゾーンをいっぱいに使い、すべての球種でカウントを稼げるうえ、空振りも奪えます。左打者に対しても大胆に内角を攻めて打ち取ることができる点も魅力です。
今年も9月28日から、北関東大会がいよいよ始まります。阿部投手、活躍の時が、ついにやってきたのです。 「今度は勝利をあげ、チームに貢献したい」。阿部投手は静かに闘志を燃やしています!
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