スバル AWD 40周年を迎えて
富士重工業がAWD(All-Wheel Drive)を初めて搭載した「スバル レオーネ エステートバン4WD」を、1972年9月に発売してから本年で40年を迎えます。この間、当社は乗用AWD車の先駆者としてクルマづくりを続け、AWD車の生産累計*1 は11,782,812台(2012年1月31日現在)となり、スバル車生産台数累計の55.7%を占めています。
*1:パートタイム四輪駆動方式の生産台数を含む
AWDはエンジンの力を四輪に分散することによって効率よく駆動力を路面に伝えます。さらに水平対向エンジンとの組み合わせであるシンメトリカルAWD(Symmetrical All-Wheel Drive)ではパワートレーン全体が左右対称に配置され、またトランスミッションが前輪よりも後ろに搭載されていることから、前後・左右共に理想的な重量バランスを実現しています。これらの特長により、様々に変化する路面状況や走行環境でも安定した駆動力を発揮し、安定した高速走行と俊敏なコーナリングを実現し、スバルの安全思想と走る愉しさを支える中核の技術となっています。
当社は40年を超える研究開発を通じて、AWDを非日常的な悪路走破を目的とした技術から、降雨、降雪や高速走行時などの日常域においても高い安定性を実現する技術へと進化させ、各車種の個性に応じたAWD方式を開発しています。さらに四輪を駆動する技術に留まらず、走る、曲がる、止まるというクルマの動きに対して、四輪全てをコントロールすることにより、常に四輪で路面を適確に捉えることをはじめとした、最適な走行状態を実現する技術へと発展させています。そして、この四輪コントロールの技術や知見は前輪駆動車や後輪駆動車の開発においても発揮され、スバルが提案する走る愉しさの世界を広げています。
富士重工業はこれからも、スバルのブランドステートメント“Confidence in Motion”を通じて表現する、クルマの「安心と愉しさ」を個性ある、独自の技術で実現していきます。
スバル レオーネ エステートバン4WD 1972年発売 |
新型インプレッサ シンメトリカルAWDシャシーモデル |
<資料>
【スバルのシンメトリカル AWDシステム】
■VTD*2-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)~旋回性能を高めた、スポーティな電子制御AWD
複合プラネタリーギアを使ったセンターデフに電子制御油圧多板クラッチ式LSD*3 を組み合わせたコンパクトなAWDシステム。前輪45:後輪55のトルク配分を基本に、路面状況に応じて多板クラッチ式LSDにより無段階で前後輪トルクを制御し、高い安定性を実現します。後輪へのトルク配分比率を高めることにより回頭性を高め、積極的なスポーツドライビングを可能としています。
・搭載車
レガシィ2.5GT系(AT車)、レガシィアウトバック3.6R EyeSight、エクシーガ2.0GT系、
インプレッサWRX STI A-Line
*2 VTD: Variable Torque Distribution
*3 LSD: Limited Slip differential 差動制限装置
■アクティブトルクスプリットAWD ~燃費と安定性を重視した電子制御AWD
電子制御MP-T(Multi Plate Transfer)により後輪へのトルク分配を行うスバルオリジナルのAWDシステム。前輪60:後輪40のトルク配分を基本に、四輪の駆動状況、エンジントルク等の変化に対応してリアルタイムに前後輪のトルク配分を制御します。ドライバーのスキルにかかわらず、あらゆる走行状況においてAWDのメリットを最大限に引き出すことができる安定性を重視したシステムです。
・搭載車
レガシィ/レガシィアウトバック2.5i系、エクシーガ2.0i系、フォレスター(AT車)、
インプレッサ(リニアトロニック車)
■ビスカスLSD付センターデフ方式AWD ~自然なフィーリングが特長のMT車向けの機械式AWD
ベベルギヤを用いたセンターデフとビスカスLSDを組み合わせた機械式AWDシステム。前輪50:後輪50のトルク配分によりトラクションを最大限に引き出し、安心感のある走りからスポーティな走りまで幅広くカバーします。
・搭載車
レガシィ(MT車)、フォレスター(MT車)、インプレッサ(5MT車)
■DCCD*4 方式AWD ~本格的モータースポーツ向け電子制御AWD
トルク感応機械式LSDと電子制御LSDを組み合わせた、本格的なモータースポーツ向け電子制御AWDシステム。前輪41:後輪59のトルク配分を基本として、機械式LSDによる遅れのない作動制限と、電子制御LSDによる状況に応じた前後トルク配分により、大きな駆動力を発揮しながら安定性を確保しています。またドライバーが任意にLSDの効き方を設定し、走りの特性を変える事ができるマニュアルモードと自動的にLSDを制御するオートモードを備えています。
・搭載車
インプレッサ WRX STI(MT車)
*4 DCCD:Drivers Control Center Differential