第6世代「フォレスター」開発ストーリー Vol.3  AWDシステム制御と純正アクセサリー用品の魅力を探る

第6世代「フォレスター」開発ストーリー Vol.3
AWDシステム制御と純正アクセサリー用品の魅力を探る

記事内の日付や部署名は、取材当時の情報に基づいた記述としています

仕事は違っても、「笑顔をつくる」という想いでつながる「SUBARUびと」。 様々な部署で働く「SUBARUびと」を、仕事内容や職場の雰囲気を交えてご紹介します。今回は2025年4月に発表した第6世代の「フォレスター」のAWDシステム制御に携わった平尾さん、純正アクセサリー用品の開発に携わった近藤さんに、当時を振り返ってもらいました。

目次

駆動トルク配分を緻密に
制御し、安心と愉しさを
感じる走りを実現

平尾 公一さん

平尾 公一(ひらお こういち)さん

2014年に中途入社。学生時代は機械工学を専攻し、前職含め、一貫してトランスミッションの開発に従事。第6世代フォレスターや2022年に登場した第6世代インプレッサでは、“先行開発”と呼ばれる企画段階から開発に参画し、非常に愛着が強い。

平尾:
私は第6世代フォレスター*1の開発プロジェクトにおいて、「アクティブトルクスプリット*2」というAWDシステムの制御刷新を担当しました。
SUBARU車は前方にエンジンがあるため、前後重量配分ではフロント側の方が重たいです。それに合わせてこのシステムでは、基本の駆動トルクを前60:後40とフロント側に多く配分することで、SUBARUらしい安心感のある走りを実現しています。今回の新制御では、市街地走行などの低い速度域においては、従来よりもリヤ側の駆動トルク配分を増やすことで操舵応答性を向上させ、これまで以上に軽快で愉しさあふれるAWD制御に仕上げました。
  • ニュースリリース…SUBARU 新型「フォレスター」を発表
    https://www.subaru.co.jp/news/2025_04_17_164724
  • ドライバーのスキルにかかわらず、あらゆる走行状況においてAWDのメリットを最大限に引き出すことができる安定性重視のAWDシステム

技術を手のうち化し、
部署の垣根を越えて
理想のハンドリングを実現

平尾:
今回制御変更した箇所は、以前から「ここを変えれば軽快なハンドリングになるはずだ」というイメージは持っていましたが、理論的に解明はできていませんでした。SUBARUのAWDはこれまで多くのお客様から高い評価をいただいてきましたから、お客様の期待を裏切らないためにも、理論的に説明できない技術を入れることはできません。それを今回実現できたのは、AWDの研究を行う特命チームが原理検証を行い、原理原則を解き明かすことができたからです。クルマがこれだけ加速すると重量配分はこうなるから、最適な駆動トルク配分はこれだ…というのを定量的に示せるようになったことで、システムに組み込むことができました。
また今回の取り組みでは車体開発のエンジニアとも連携を深め、AWD制御・足回り・電動パワーステアリング(EPS)のセッティングを一括して行いました。これまで車体開発のエンジニアがAWD制御に関するデータに触れる機会はあまりなかったのですが、部門の垣根を越えて情報をシェアすることで「ここはAWD制御を変えた方がいいクルマになるな」「あそこは足回りの調整で解決できるはずだ」という新たな発想が生まれてきたんです。

平尾さん

「SUBARUらしいAWD」を
さらに突き詰めていきたい

平尾:
従来の制御でもお客様から高い評価をいただけていましたが、AWDはSUBARUのアイデンティティの1つですから、もっともっと良くしていきたいんです。今回の取り組みを通じて、自分自身もAWD制御の伸びしろを実感できたので、今後拡大していく電動車においても「やっぱりSUBARUのAWDはいいよね!」と感じていただけるよう、これからもチャレンジ精神をもって取り組んでいきたいと思います

AWD制御を司る、TCU
(トランスミッションコントロールユニット)

お客様の一人として
フォレスターを使い、
あったら嬉しい機能をリサーチ

近藤 太郎(こんどう たろう)さん

近藤 太郎(こんどう たろう)さん

2016年に入社し、海外向け純正アクセサリー用品の設計開発業務を経験。2020年からは純正アクセサリー用品の企画業務に携わる。第6世代フォレスターでは、開発プロジェクトメンバーとして、純正アクセサリー用品の開発ディレクションを担当。

近藤:
私はいわゆる「ディーラーオプション」と呼ばれる、純正アクセサリー用品の開発ディレクションを担当しました。
実は私、第6世代フォレスターの開発に携わる前まで、フォレスターに乗ったことがなかったんです(笑)。まずはお客様の気持ちを理解しないと…と思い、当時の上司に「フォレスターを貸してください!」と直談判。1カ月間、日常から非日常までお客様の一人として乗り倒すところから開発をスタートしました。お客様が求める商品は何か。キャンプをするとき・サイクリングにいくとき・ベビーカーを積んで家族で出かけるとき…。いろいろな使い方を実際に試してみて、作り手目線のモノ発想ではなく、リアルなお客様目線のコト発想で様々なアイデアを考えました。さらに、SUBARUオーナーが集うオフ会にも参加し、お客様がカスタムしているクルマを見せていただいたり、アンケートやSNS、クルマのレビューサイトなどを通じて、お客様の生の声を集めたりしました。

近藤さん

部門を超えた連携で、
自分自身が使いたいと
思える自信作ができました

近藤:
お客様ニーズを分析した結果、荷室の利便性向上が最も強いニーズであると考えたんです。フォレスターの荷室は広く、いろいろな使い方ができるため、お客様が持つ様々な“やってみたい!”という気持ちを後押しできるような商品の企画を目指しました。
また、以前から「車両の開発チームとアクセサリーの企画チームが連携すれば、もっといろんなことができるはずだ」と考えていたので、志を同じくする同士を集めながら、車両開発の上流過程からフォレスターという商品の価値を最大化できるような企画を立案してきました。
例えば「ユーティリティフック」。これは荷室内の左右各3カ所に取り付けることができ、買い物袋やバックパックはもちろんのこと、登山用の大型カラビナでもかけられるのがポイントです。このフックに突っ張り棒のような「ユーティリティバー」という商品を取り付ければ荷崩れ防止になり、そこに「カーゴシェルフボード」を取り付ければ間仕切りにもなる。そして使わないときは畳んで小さく収納できます。

左上:ユーティリティフック 
右下:ユーティリティバー&カーゴシェルフボード

「このアクセサリーを使いたい
からフォレスターが欲しい!」
と感じていただくことが
最終目標

近藤:
今回の開発では、常に自分に「お客様のためになっているか?」ということを問いかけてきました。どの商品も自信作です。また従来は、クルマはクルマ・アクセサリーはアクセサリーと、どこか分業されすぎていた部分もあったかもしれません。今回の開発ではそうした部門の壁を取り払い、ワンチームで取り組んできたからこそ、使い勝手と純正アクセサリーらしいフィット感の両方を高めることができました。「このアクセサリーを使いたいからフォレスターが欲しい!」と思っていただけたら嬉しいですし、今回紹介した以外のアイテムも実際に使ってみたくなる機能が盛り沢山です。ぜひ手に取って使ってみていただきたいですね。

部門の垣根を超え、より良いクルマづくりに情熱を傾けるSUBARUびと。ぜひ、次回のコラムもご期待ください。

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