マシンを数値で把握し、「意のままに操れるクルマ」を目指す

マシンを数値で把握し、「意のままに操れるクルマ」を目指す

車両環境開発部|河相 知秀

記事内の日付や部署名は、取材当時の情報に基づいた記述としています

スーパー耐久に挑むSUBARUの技術者たち。 今回は車両環境開発部に所属する河相 知秀(かあい ともひで)さんにインタビューしました。

河相さんは普段どんなお仕事をしているのですか?

クルマから出る排気ガスが各国の法規制に適合するよう、様々な実験を通じてECU(エンジンコントロールユニット)の設定値を最適化する業務に携わっています。

何やら難しそうですね(笑)河相さんは入社前からSUBARUに興味があったのでしょうか?

そうなんです。 『水平対向エンジン』という他に類を見ないエンジンを持っていることから、ライバルにはない魅力を感じていました。 今はエンジンの制御に関わる仕事をしていますので、元々やりたかったことにチャレンジできてうれしいです!

そうなんですね!今回参加しているスーパー耐久では、「カーボンニュートラル燃料」を使用した水平対向エンジンで戦っていますが、スーパー耐久でもECU周りを担当しているのですか?

…実は違うんです(笑)スーパー耐久では車両のデータ計測全般を担当していて、エンジンだけではなく足回りやトランスミッションといった、クルマのありとあらゆる部分のデータを計測し、管理しています。 通常業務ではエンジンのデータしか計測したことがなかったのですが、クルマの動きそのものに関するデータも扱うようになってきて、視野が広がっていくのを実感しています。

普段と違った視点が求められるのですね。 それは河相さん自身が望んでやり始めたのですか?

まず、スーパー耐久への参加は公募制だったので、自ら進んで手を挙げました。 そしてスーパー耐久における役割ですが、当初はECUのデータだけ取れれば…という思いでした。 ですが実際に参加してみて感じたのが、レースである以上「マシンを速く走らせる」ことが求められていて、それを達成するためには「意のままに操れるクルマを作り上げる」という視点が重要ということなんです。 そうなるとECUだけではなく、足回りを始めとした車両の運動系全般のセッティングを分析することが求められるんですよ。

なるほど…非常に奥が深いですね。 計測したデータはどのように活用されているのでしょうか?

本来はドライバーの要望と計測したデータを照らし合わせて課題を絞り込み、その対策を施していくのですが、当初はドライバーから何を求められているのか全くわからなくて…ドライバーのコメントがどのデータのどこのことを指しているのかわからず、更にはそのデータ上の挙動がどうして発生しているのかもわからなかったです。
ですが、チーム内でデータの取り方や計測ポイントを議論しながら理解を深めていくことで、ドライバーが「何か変だぞ…」と感じているところを、データ上でも「あ、ここが原因だね!」と対応関係が徐々につかめるようになってきました。 これはチーム全体として、ここ最近で特に進歩したと感じる部分の1つです。

チームの成長を感じられるのはすごくうれしいですよね!河相さん自身はいかがですか?

…まだまだ足りないことがいっぱいありますよ(笑)データをたくさん集めて分析することを通じて、クルマをより速くするには「こんな手もあるよ!あんな手もあるよ!!」と積極的に提案できるようになりたいですね。 レース現場での経験は少ないですが、少しずつ周りからも信頼されているようなので、その期待に応えたいと思っています。

河相 知秀

河相 知秀(かあい ともひで)

2016年入社。大学では機械制御システムを専攻。入社後はEJ20/EJ25エンジンの制御評価・実験業務を務める。
入社4年目からはエンジン部品の故障診断システム(OBD)の開発業務を担当し、現在に至る。

『今まで知らなかったことをどんどん知ることができるのはすごく面白いし、もっともっと勉強したいと思っています!』とにこやかに語ってくれた河相さんでした。
レースを通じて切磋琢磨を続けるSUBARUのエンジニアたちの挑戦、次回のコラムもぜひご期待ください。

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