CEOサステナビリティメッセージ

コミュニティと共に
地域社会の課題解決に寄与し、
「笑顔」をつくる

代表取締役社長 CEO
大崎 篤

SUBARUの強みや価値を活かしてSUBARUグループと社会の持続可能性の実現を目指す

2023年度の世界情勢は、ロシア・ウクライナ情勢をめぐる混乱の長期化や中東での紛争勃発に加え、物価上昇を受けた利上げなどに伴う景気の先行き不透明な状況が続きました。一方で、日本国内においては新型コロナウイルスの感染法上の5類移行による各種制限の緩和に伴い、需要と供給両面において回復基調となりました。
このような経営環境の中、ありたい姿である「笑顔をつくる会社」に向けて、提供価値である「安心と愉しさ」の追求と“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指しています。2023年8月に発表した「新経営体制における方針」のもと、「モノづくり革新」と「価値づくり」において世界最先端を目指すべく各取り組みを強力に推進し、非連続かつ従来以上の急速な変化の中においても「柔軟性と拡張性」の観点を念頭に置き、ありたい姿の実現を目指します。
また、前中期経営ビジョン「STEP」で掲げた「個性を磨き上げ、お客様にとってDifferentな存在になる」「お客様一人一人が主役の、心に響く事業活動を展開する」「多様化する社会ニーズに貢献し、企業としての社会的責任を果たす」という3つの目指す方向性は変わりません。今後、SUBARUでは企業の社会的責任だけでなく、SUBARUの強みや価値を活かした形で社会の期待に応え、SUBARUグループの持続可能性と社会の持続可能性を追求していきます。

「笑顔をつくる会社」の実現に向けたマネジメントの強化と人権リスクへの対応

SUBARUグループの持続可能性を高め持続可能な社会の実現に向けた事業が、順調に遂行しているかどうかをしっかりと見ていく必要があります。そのために、代表取締役社長を委員長とし、全執行役員がメンバーとして加わるサステナビリティ委員会にて、サステナビリティにおける戦略や方針、取り組みなどを議論するとともに、その内容を取締役会で付議・報告しています。また、具体的な取り組みに関しては、投資家の声やESG評価機関からの指摘事項も踏まえて検討し、各事業の執行会議や取締役会によるマネジメントのもと事業を遂行しています。

また、SUBARUグループでは「一人ひとりの人権と個性を尊重」することを重要な経営課題と捉え、「人権方針」を2020年4月に制定し、人権尊重の取り組みを推進してきました。この方針をもとにビジネス上の人権リスクを特定し、その対応策を策定する「人権デュー・ディリジェンス」を2020年度から2021年度にかけて人事・調達領域にて実施しました。2022年度以降は対応策を確実に実行するフェーズに移行し、SUBARUだけでなくお取引先様と共に様々な対応策を進めています。
今後も、サプライチェーンも含めたビジネスパートナーやその他の関係者と共に人権を尊重した活動を実践し、様々なステークホルダーの「笑顔」をつくっていきます。

サステナビリティ重点6領域へ発展させ、SUBARUグループと社会の持続可能性にさらに貢献

SUBARUグループはこれまで、「CSR重点6領域」を定めて取り組みを推進してきました。これからは、社会環境やサステナビリティに関する考え方の変化の趨勢を捉え、この「CSR重点6領域」を「サステナビリティ重点6領域」として発展させることで、CSR視点だけではなくSUBARUの価値や強みを一層活かした形でSUBARUグループと社会の持続可能性にさらに貢献します。具体的には「人を中心とした自動車文化」を「人を中心としたモビリティ文化」に、「ダイバーシティ」を「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)」に変更します。各領域の取り組みとマネジメントを一層深化させていくべく引き続き議論を進めており、長期視点も取り入れたより適切な形でのアプローチを行うことで、さらなる社会価値・経済価値の創出を目指します。
各領域の2023年度の取り組みのうち、「安心」については、「品質改革」をSUBARUが持続的に成長していくうえで根底にあるものと位置付け、取り組みを継続しています。また、この「安心」について、リアルワールドでのより複雑かつ予測困難な状況下での安全性を高めるべく、今後はビジネスパートナーとの協業を強化していきます。例えば、安全機能アイサイトにおいては、米国AMD社との協業によりステレオカメラの認識処理とAI推論処理を融合し、緊急時に最適な判断結果を出力可能なSoCの最適化を目指します。このように今後もお客様により「安心」して使っていただける商品を提供し、「2030年死亡交通事故ゼロ」の実現に向けた取り組みを加速します。
そして、お客様が「安心」して使っていただける商品を生み出すためには、従業員やその家族、SUBARUグループに関わるすべての人が「安心」して働くことのできるよう、物心両面において安全衛生を推進する必要があると強く認識しています。今後も、より良い職場環境の整備に取り組んでいきます。

システム・オン・チップ。一つの半導体チップに複数の機能を持たせること。

2023年のCEO就任以降、人財がすべての基盤であることを言い続けてきました。なかでも、「DE&I」に関しては、SUBARUグループにおけるイノベーションを起こすために重要と考えており、その一環として、特に女性活躍推進にはこの一年間非常に力を入れて取り組んできました。「2025年までに女性管理職数を2021年時点の2倍以上」という目標に向けて、管理職を目指す女性従業員を対象とした各種研修や女性役員との対話会、女性活躍推進に関する従業員へのメッセージを発信することで、2024年4月時点での女性管理職数は2021年の1.8倍に増加しました。今後は女性従業員だけでなく、外国籍従業員や障がいを持つ従業員なども含めた様々な従業員が活躍できる環境づくりを行います。また、同質化した組織に変化は生まれにくいため、従業員一人ひとりの個性や強みを活かすことでさらなるイノベーションを起こします。その結果として、お客様に「笑顔」をつくるDifferentな商品を届け続けます。

「環境」については、SUBARUの事業フィールドである「大地と空と自然」が広がる地球環境保護を重要なテーマと捉えています。脱炭素社会に貢献するため2023年には、商品(スコープ3)に関する中間目標を「2030年に全販売台数の50%をBEVにすることを目指す」、工場・オフィスなど(スコープ1および2)の中間目標を「2035年度に2016年度比60%削減」に引き上げました。
また、先行きを見通すことの難しい時代におけるリスク軽減や、開発および生産領域の「柔軟性」を確保するため、BEVの共同開発・相互生産・相互供給といったトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)とのアライアンスを強化していきます。具体的には、2026年末までにラインアップする4車種のBEVについては、トヨタとの共同開発とし、両社の知見を持ち寄りながら開発を進めています。また、ガソリンエンジン車とBEVの混流生産の開始を矢島工場にて計画しており、ここで生産するBEVはトヨタにも供給し、トヨタの米国工場で生産されるBEVはSUBARUにも供給予定です。加えて、2027年以降に大泉工場にBEV専用ラインの新設を計画するなど、様々な取り組みを進めます。
今後もBEVの普及の加減速や市場の動向にあわせ、フレキシブルな対応ができるよう準備を進めていき、脱炭素社会に貢献していきます。

コミュニティによる共感から「笑顔」の連鎖を生み出す

SUBARUは決して規模は大きくありませんが、同業他社にはないDifferentな商品を軸として、お客様やコミュニティとの強い関係性を生み出していることが強みです。今後はその強みを活かして、お客様や販売特約店とタッグを組んでコミュニティによるさらなる共感を生み出し、地域社会の課題解決に寄与していくことを目指します。社内ではその機運も高まりを見せており、自らがリードしてその「うねり」を生み出していきたいと考えています。お客様の人生の節目々々にSUBARUがあって、そのお客様を「笑顔」にしたい。また、その商品をつくる従業員も「笑顔」になり、SUBARUの取り組みに共感してくださるコミュニティやお取引先様なども「笑顔」になるというように、「笑顔」が連鎖していくことを期待しています。
私は、社長に就任してからこの1年間で、「答えは『現場』にある」ことを改めて実感しました。工場や販売特約店の従業員だけでなく、投資家などのステークホルダーの皆さまとの対話の場も「現場」だと考えています。今後も皆さまとのコミュニケーションをしっかりと取っていきながら、これまで以上にすべてのステークホルダーの皆さまに寄り添うSUBARUを目指していきます。

代表取締役社長 CEO
大崎 篤