考え方・方針

SUBARUグループでは、個々の人財の持続的成長を後押しすることが会社の持続的成長に不可欠であるという考えのもと、関係会社も含めて事業特性に合わせた人財育成プログラムを展開しています。
また、グループを横断した研修や人財交流にも取り組むことで、SUBARUグループ全体が一丸となって、社会への持続的な価値提供を目指していきます。

体制・マネジメント

人財育成

「SUBARUへの共感のもと、⾃律的に⾏動しチャレンジし続ける人財」を創出するため、従業員が自らのキャリアを描き、自律的に学び、成長できる仕組みと環境を整備しています。

・国内グループ会社

2022年度より、グループ会社向け人財育成の主管部門をSUBARU経営企画部から人事部へと移管しました。一貫したプログラムのもと、SUBARUグループ全体での人財レベル向上を図ります。

・海外グループ会社

海外のグループ会社では、地域性や事業内容などを踏まえ、求められる能力や専門スキル開発などに関する人財育成プログラムを提供し、従業員の成長を支援しています。

取り組み・実績

キャリア開発

SUBARUは、2021年度よりスタートした新人事制度において、①チャレンジする人が成長し活躍できる、②働きに見合った公平な評価と処遇が得られる、③様々な能力を持った人財が活躍できる、の3点を目指す組織の姿とし、従業員の自律的なキャリア開発を後押ししています。

教育プログラム

SUBARUでは全従業員の自律的なキャリア開発に向けて、会社として「個の成長」を後押しする仕組みや環境の整備を推進しており、個人が描くキャリアプランに応じたスキル開発ができるよう、幅広く学べる機会を提供しています。またOff-JTも積極的に取り入れることで、階層や役職に応じたビジネススキルの体系的な習得だけでなく、変化が激しく未来の予測が難しい時代に対応できる多様なスキルを持った人財の育成に注力しています。

研修実績(SUBARU単独)
項目 2021年度 2022年度 2023年度
一人当たり平均研修時間 6.5h 10.4h 13.7h
一人当たり研修費用 3.9万円 5.1万円 6.0万円
総研修時間 128,554h 178,362h 254,937h
2023年度より調査対象を全事業所人事主催研修まで拡大
理念共感

「多様な従業員がひとつのビジョンに向かって、それぞれ際立った能力を自律的に発揮し、一丸となって活躍する強い組織」を目指し、全従業員を対象とした「SUBARUビジョン理解プログラム」を2021年度から毎年10月末に全社一斉に実施しています。
2023年度は「新経営体制における方針」をテーマとしました。「笑顔をつくる会社」の実現と本方針のつながりや取り組み、従業員一人ひとりの動き出しなどについて、職場内でディスカッションを行うことで、各自の自律的な行動を促すとともに、組織全体の成長や競争力向上につなげています。

経営人財育成

次世代の経営を担う人財を継続的に創出することを目的に、管理職・中堅層の従業員それぞれを対象とした選抜型研修を実施しています。

キャリア開発支援

従業員が自律的にキャリア形成できるよう、自らのキャリアに向き合う機会としてキャリア面談を実施しています。職場や上司が従業員に適切にキャリアを支援できるよう、管理職向けにキャリアマネジメント研修を実施しています。

ビジネススキル開発支援

すべての従業員を対象に、一人ひとりのレベルや目的、キャリアプランに応じた選択が可能なビジネススキル開発支援プログラムを提供しています。隙間時間に学べるオンデマンドプログラムや社外講師を招き、外部から学ぶ機会を通じた「個の成長」を促すプログラムを行っています。

グローバル人財育成

語学力向上に加え、グローバルな活躍を視野に、異文化における協働・リーダーシップスキルの習得を目的とした幅広い能力開発の促進を図っています。

育成FUND

2024年6月から導入した本施策では、会社から与えられる教育機会だけではなく、従業員が業務の発展につながる学びの機会を自ら探し、承認を得ることで会社から全面支援を受けることができるプログラムです。従業員はその学びを組織の成長に還元することで、各分野における世界最先端の実現、真の競争力向上を目指していきます。

エンジニア育成

SUBARUが持続的に企業競争力の優位性を保つためには、市場変化を捉え、お客様の期待に応える技術価値を創造できるエンジニアの育成が不可欠です。自動車業界の大変革期において、これまで培ってきた技術力(スキル)に、時代の変化に応じた新たな技術力を付加し、SUBARUらしい技術力強化を行うことをSUBARUでは「アドスキル」と呼び、特にエンジニア人財に対してソフトウェア領域の「アドスキル」に積極的に取り組んでいます。
ソフトウェアがクルマづくりや機能価値に大きく影響を与える状況を踏まえ、2022年度に「ソフトウェア人財育成プロジェクト」を発足させました。商品力強化とモノづくり革新に直結する「車両もソフトウェアも理解し開発ができる人財の育成」を目指して活動しています。本プロジェクトでは新入社員、既存社員それぞれにレベル別の教育講座を設けています。新入社員向けではソフトウェア技術を商品開発に応用する「組み込み講座」と「AI・DX講座」の2つを設定し、2023年度までに約350人の技術部門配属新入社員全員が受講、そのうち約20人が上級レベルに進級しています。「組み込み講座」の上級レベルでは、開発現場の実務に沿った研修を通じて、基盤ソフトウェア開発ができるコア人財の育成に取り組んでいます。また「AI・DX講座」の上級レベルでは、「アイサイト」とAIを融合させた高度開発を主導するSUBARU Lab(スバルラボ)に配属され、実践的かつ高度なAI開発技術を習得しています。さらに各職場のニーズを踏まえた教育を通じて、教育成果の実務への活用を狙い、組織全体の生産性向上や技術革新への寄与を図っています。既存社員向けには技術部門の約4,000人全員に対し、入門レベルとして「AI・DXに関するリテラシー講座」を実施しています。さらに、そのなかから技術戦略に基づく推薦者と本人の自主性に基づく希望者の合計200人以上が上位のレベルへステップアップし、技術力を向上させています。これらの取り組みは、今や単なるスキルアップにとどまらず、組織の変革と競争力強化の重要な推進力を担うまでになっており、引き続き取り組みの質的向上を目指していきます。

公募型ジョブローテーション制度

従業員一人ひとりが描くキャリアプランの推進支援の仕組みとして、2021年度より公募型ジョブローテーション制度を導入しています。
本制度は各部署が公募する職務に対して従業員が自発的な意思に基づき応募し、双方の条件が合致すれば異動が成立する仕組みです。
制度導入後3年が経過し延べ200人以上が新たなキャリア機会を得ています。
利用者からはやりがいや新たなチャレンジの実感、視野の広がりといった声が届いています。
制度目的であるキャリアプラン支援による個力強化を行いながら人財の流動性効果による組織力強化にもつなげていきます。

技能伝承にむけて

■技能者の育成
モノづくり本部では、あるべき人財像「自律的に考動できる人財…QCDSの視点で他部署を巻き込み課題創造型問題解決を図ることができる人財」の育成を目指し、入口・基礎・技能・改善・管理者の5本柱で教育を実施しています。そのなかでも、基礎教育の一つである、役割理解と課題解決を習得する「階層別研修」は、2023年度、1160人が受講済みです。また、「勘とコツ」を必要とする技能を伝承する取り組みとしては「特殊技能伝承コース」という仕組みを運用しており、23年度は39人が修了済みです。

Quality(品質)Cost(コスト)Delivery(納期)Safety(安全)

■技能五輪全国大会※1への参戦
高度な技術力を持ち職場のリーダーとなり得る人財の育成を目的として、技能五輪全国大会へ参加しています。
技能五輪全国大会には、「旋盤」「プラスチック金型」「自動車板金」の3種目で毎年参戦し、技能レベルの日本一を目指しています。各選手は入社からの約3年間、全国大会で最高の力が発揮できるように、毎日の訓練で技能・集中力・体力の鍛錬に励んでいます。
SUBARUは技能五輪全国大会に20年以上参加しており、2017年には自動車板金職種で金賞を獲得し、その後も毎年入賞を果たしています。2023年の第61回大会では銀賞、銅賞、敢闘賞を獲得しました。同実績を含み、累計で54個の入賞メダルを獲得しています。※2

※1
中央職業能力開発協会が主催する、国内の青年技能者(原則23歳以下)を対象に、技能競技を通じ、青年技能者に努力目標を与えるとともに、技能に身近に触れる機会を提供するなど、広く国民一般に対して技能の重要性や必要性をアピールし、技能尊重機運の醸成に資することを目的として実施する大会
※2
入賞実績54個の内訳…金賞1/銀賞3/銅賞14/敢闘賞36