考え方・方針

水はSUBARUグループの事業活動を営むうえで、欠かすことのできない資源の一つです。また、自然を愛し、自然と共に活動を愉しむSUBARUのお客様にとっても、水は大切な資源です。しかし、気候変動による干ばつや洪水などの災害発生リスク、世界の人口増加、経済発展などによる水資源の不足、水質汚染のリスクが高まっています。
これらの水リスクに備え、SUBARUグループは、水使用量や排水中の環境負荷の適切な管理に努めるとともに、水資源の貯蓄機能がある森林の保全活動も積極的に行っています。

体制・マネジメント

SUBARUグループの水使用量は、生産環境小委員会にて各拠点の水使用量の管理を行っており、総量・原単位ともに一定の水準を維持しています。
SUBARUグループの水使用量は、水源別で工業用水65%、水道水30%、地下水6%となり、水資源として今後リスクが高まる淡水のみを使用しています。SUBARUグループは、淡水という貴重な水資源を使用しているというリスクを認識しており、主要な事業所を対象として水リスクの調査を実施しています。このリスク調査では水リスクは高くないという結果が得られていますが、継続的な水資源の確保のため、定期的な水リスクの見直しおよび水使用量の削減に向けた取り組みを今後も進めていきます。

リスクマネジメント

SUBARUグループは、持続可能な水資源の利用のため、外部の専門家による水リスクに関する調査※を行っています。この調査は各拠点が位置する河川流域における水需給の見通し、水災発生の可能性、公衆衛生・生態系への影響などを5段階で評価するもので、リスク評価ではIPCC(The Intergovernmental Panel on Climate Change、気候変動に関する政府間パネル)が採用した気候変動シナリオの中で最も深刻なRCP8.5を用いました。この調査の結果、群馬製作所、宇都宮製作所、Subaru of Indiana Automotive, Inc.の水リスクは総じて中程度以下でした。2023年度にWRI Aqueduct water risk atlas、WWF-DEG Water Risk Filterを用いて自社で水リスク評価を行った結果、過去の調査と同様に水リスクは総じて中程度以下であることを確認しています。
また、SUBARUグループの国内サプライヤーの災害リスクの対応を行っています。お取引先様での有事発生時の復旧支援活動の体制などを整理するとともに、災害リスクに関する情報を双方で共有するシステムを導入しています。さらにSUBARUグループが主要な供給先となる群馬製作所近隣のお取引先様に対しては、Tier2を含む1,200以上の拠点での水災害リスクの評価を行うとともに、「BCP取組み状況確認シート」による有事発生時の対応の確認、模擬訓練の実施やその後の是正対応の確認を行っています。

群馬製作所・Subaru of Indiana Automotive, Inc.

2016年度に実施したリスク調査では、自動車製造拠点である群馬製作所、Subaru of Indiana Automotive, Inc.の水需給リスクはどちらも中程度でした。気候変動の影響を考慮しても中長期的に現在のリスク水準を維持できる見通しであり、下流域に生物多様性の保護地域などは確認されず、水質汚濁への脆弱性が低いことが確認されました。

宇都宮製作所

2017年度に実施したリスク調査では、航空機製造拠点である宇都宮製作所の水需給リスクは中程度であり、将来の河川流量の増加と水需要の減少が予測され、将来的に改善傾向にあるという結果でした。宇都宮製作所の立地場所は洪水浸水エリアおよび土砂災害エリアに該当しておらず、下流10kmに保護地域や希少な水生生物の生息地域は確認されませんでした。今後はこの調査をもとに、水リスクの適切な把握に努め、地域の需要に合った水資源の利用および水域の環境保全に努めていきます。

※ 参考データベース
WRI Aqueduct water risk atlas、WWF-DEG Water Risk Filter、PREVIEW Global Risk Data Platform、Climate Change Knowledge Portal、Integrated Biodiversity Assessment Tool、NCD-VfU-GIZ Water Scarcity Valuation Tool (Version 1.0)、Costing Nature / Water World、国土数値情報 浸水想定区域データ・土砂災害危険箇所データ(国土交通省)(群馬製作所・宇都宮製作所のみ)

お取引先様

SUBARUグループが主要な供給先となる群馬製作所近隣のお取引先様の対応として、Tier2を含む1,200以上の拠点での水災害リスクの評価を行いました。その結果、約4割の拠点が浸水及び土砂災害のリスクありという評価となり、これらの拠点として、人命も脅かす浸水リスクに曝されている拠点、復旧作業が極めて困難になるエリアに所在する拠点、土石流などの土砂災害の危険が想定された地域にある拠点を特定しました。これらのリスク評価の結果を共有するとともに、お取引先様とともに「BCP取組み状況確認シート」による有事発生時の対応の確認、模擬訓練の実施やその後の是正対応の確認を行っています。

水リスクへの対応:

取り組み・実績

事業所の取り組み

水使用の総量は、事業所ごとに水量を管理集計し、半期ごとの会議体にて報告・確認を行い、適宜、必要な対策を実施しています。

水使用量

対象範囲

SUBARU:
群馬製作所、東京事業所、宇都宮製作所、半田工場、半田西工場、エビススバルビル、部品センター、スバル研究実験センター、スバル研究実験センター美深試験場、スバル総合研修センター
国内グループ会社:
輸送機工業株式会社、富士機械株式会社、株式会社イチタン、桐生工業株式会社、株式会社スバルロジスティクス、株式会社東扇島物流センター
海外グループ会社:
Subaru of Indiana Automotive, Inc.、Subaru of America, Inc.、Subaru Canada, Inc.、Subaru Research & Development, Inc.

2023年度 水源別水使用量(千m3

地域 水道水 工業用水 地下水 主な取水流域
日本 317 2,789 253 利根川、渡良瀬川
北米 962 0 0 ティーズ渓谷
地下帯水層の地下水
合計 1,279 2,789 253  

対象範囲

日本:
群馬製作所、東京事業所、宇都宮製作所、半田工場、半田西工場、輸送機工業株式会社、富士機械株式会社、株式会社イチタン、桐生工業株式会社、株式会社スバルロジスティクス、株式会社東扇島物流センター
北米:
Subaru of Indiana Automotive, Inc.、Subaru of America, Inc.、Subaru Canada, Inc.、Subaru Research & Development, Inc.

群馬製作所

群馬地区では工場からの排水を処理後、油水分離槽を通して、河川に放流し、最終的に利根川に合流します。利根川の水は、下流域で農業用水や生活用水に使用されるため、適切な排水処理を行っています。

宇都宮製作所

イオン交換・リサイクル水製造システムを組み込んだ表面処理施設を導入し、排水を再生処理しリサイクル水(純水)として活用しています。2023年度は、表面処理施設で使用した水総量98,032m3のうち、34,545m3(35.2%)をリサイクルし、表面処理施設の洗浄水として工場内で活用しています。

表面処理排水の再生処理(イメージ)


宇都宮地区では、表面処理工程などの排水を処理後、下水道に放流し、雨水や冷却水は最終水質監視槽で水質確認後、河川に放流しています。また、半田地区の塗装工程の廃液は産業廃棄物として処分しており、生活系排水は浄化槽で処理後、衣浦港、阿久比川に放流しています。

宇都宮地区の排水処理工程

海外グループ会社の取り組み

雨水管理(Subaru of America, Inc.)

Subaru of America, Inc.は、雨水管理の重要性を考慮し、既存の敷地の勾配を最大5フィート上げる、水はけが悪い場所に湿地植物を植えることで、敷地内の浸水リスクの対応を行っています。
また、SUBARU Rain Gardenは雨水を一時的に貯留することで、近隣のクーパー川が氾濫するリスクを抑える役割を担っています。

SUBARU Rain Garden