富士重工業 連節バスを発売
~一般路線バスとして国内で初めて~
富士重工業(田中 毅社長)は、12月より一般路線用の連節バスの本格的な販売を開始する。これにともない、京成電鉄(大塚 弘社長)より10台の連節バスを受注、このうち11月16日、第一ロットとして3台を納入した。
今回販売を開始する連節バスは、スウェーデンのボルボ・バス社(ビヨルン・ラーソン社長、スウェーデンイエテボリ市)製シャシーに、富士重工業がバスボディを架装したもので、一般路線バスとしては国内で初めてのもの。幅と高さは一般の大型バスと同等だが、全長は18mで一般のバスの約1.7倍、定員は140名(今回の仕様)と一般のバスの2倍弱となっている。また後部車両の車輪がカーブに応じて操舵される機構を持っているため、車体が長いにもかかわらず内輪差・回転半径による占有面積は、一般の大型バス並という特徴を持つ。中央にある連節部の室内床面は、直径約2mのターンテーブル(4席を設置)によって接合されており、坂道などの走行時にも床面の段差はほとんど生じないよう工夫されている。
富士重工業では、昭和60年に茨城県筑波研究学園都市で開催された国際科学技術博覧会(科学万博 つくば85)向けに連節バス100台を納入した実績があるが、当時は、主に専用道路を走ることで特別に運行認可されたものであった(注)。その後、平成10年11月、運輸省により「連節バスの構造要件」が通達され、連節バスが一般路線バスとしても運行可能となったため、今回、新たに一般路線バス用として開発、販売を開始するものである。今後同社では、輸送人員増大地区での交通手段として連節バスを積極的に提案していく。
連節バスは、車体が前後2つの客室で構成され、関節継手を通って乗客が前後の客室間を自由に移動できるバス。1台で大量の乗客を輸送できるので、輸送に必要な台数を従来車より削減できることから、交通渋滞の緩和、公害の低減、輸送コストの削減に効果があり、今後、都市内の一般路線バスのほか、イベント会場への大量輸送、空港旅客の輸送などへの需要が見込まれている。なお連節バスの運転は、一般のバスと同じ大型免許(営業用は大型2種免許)で可能となっている。
注. | 科学博終了後、一部は東京シティエアターミナル(東京都中央区)から新東京国際空港(千葉県成田市)までのリムジンバスとして平成9年まで活躍した。また現在でも2台が同空港内の移動バスとして運行されている。 |