ご参考
2008年7月2日

富士重工業、ツムラと共同で
活躍フィールドを広げた新型連結式搬送ロボットシステムを開発、実用化
~多様なニーズに応えることでサービスロボット市場を切り開いていく~

富士重工業はツムラと共同で、CCDカメラを活用したロボット走行技術を開発し、設置作業・期間の大幅な効率化が図れた、新しい連結式搬送ロボットシステムをツムラ静岡工場に導入した。

従来から、ツムラの静岡工場には医薬品顆粒製造工程4ラインには、医薬品の入った容器を交換運搬する連結式搬送ロボットシステムが導入されており、労働生産性の向上、昼休み、夜間の無人化製造による増産効果、ライン作業者の少人化、異物混入などのリスク軽減による品質確保といった様々な成果を上げていた。

従来の搬送技術には、AGV(無人搬送台車)、ローラーコンベア、天井搬送などがあるが、下記課題を抱えていた。

連結式搬送ロボットシステムは、この課題を解決するとともに、下記のような強みがあり、高い実用性を誇るものである。

今回の新型連結式搬送ロボットシステムは、複数の包装ラインからダンボール詰めされた製品が出てくる物を、離れた場所にある集約型ロボットパレタイザーまで搬送する作業に活用。
新型連結式搬送ロボットシステムでは、走行技術の軌道ルート検出にCCDカメラ技術を用いた。
軌道レールは天井に色テープを設置し、ロボットに搭載したCCDカメラでその色テープを認識しながら走行する。また高精度な位置決めを必要とされる場所には、施工が容易な磁気ピンを床に設置することで補完する技術も新たに用いた。
従来の軌道レールは床や壁に磁気レールを埋設する方法を用いていたため、耐久性を考慮した施工が必要とされたが、本開発技術により耐久性の心配ない天井に、軌道レールを設置する事を可能にした。この事により、設置作業・期間の効率化が図れる事になった。

さらに、本搬送ロボットシステムでは、物を載せる台車にICタグを装備することで、物と情報を一緒に搬送することが出来、品質保証の信頼性を高めることが可能となった。

今後、CO2排出削減がより求められる社会環境において、製造業においても電力量、動力量の削減に努め、CO2排出削減を図ることが企業責任として問われて行くことが考えられる。
そのような環境の中、製造スペースをコンパクトにすることができれば、空調コストを抑えることができ、CO2排出削減につながる。今後、小スペースで物の搬送ができる本ロボットシステムの活用場所は、製造スペースのコンパクト化の面からも増えていくものと考える。

ツムラは、少子高齢化による労働力不足への対応や原材料費高騰への対応、また、先述した製造現場におけるさまざま技術的課題に対応して行くために、本ロボットシステムを色々な製造工程に導入していくことを計画している。
今年度においては、静岡工場に顆粒容器交換用として1台、製品搬送用として1台を新たに導入する。また来年度には、茨城工場への導入を目指し検討中。
さらに本ロボットシステムの応用領域を広げるために、より重量物や大きい物を運べるよう、富士重工業と共同開発を進めていく考えである。

富士重工業は、これまで培ってきたロボット技術や、経済産業省とNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「次世代ロボット実用化プロジェクト」で屋外型清掃ロボットを開発・実現。そのノウハウを活かして経済産業省公募の「平成18年度サービスロボット市場創出支援事業」を活用し、屋外型清掃ロボットシステムを開発・実用化している。
この新型連結式搬送ロボットシステムは「平成19年度サービスロボット市場創出支援事業」、および経済産業省公募の「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」を活用し、開発・実用化した。

また、2006年の経済産業省「今年のロボット」大賞2006において清掃ロボットシステム(ロボットによるビルの清掃システム)が大賞を住友商事ともに受賞、2007年には連結式搬送ロボット(連結式医薬品容器交換ロボット)がツムラとともに、同2007の優秀賞を受賞するなど、高い評価を得ており、今後とも多様なニーズに応えるロボットの開発を強化していく考えである。

今後とも冨士重工業とツムラは、ともに多様なロボットシステムの開発・活用に積極的に取り組み、サービスロボット市場を切り開いていく。