富士重工業、事故をおこさないクルマを目指して、
先進運転支援システム「次世代ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」を開発
富士重工業は、世界で初めてステレオカメラのみで、全車速域追従クルーズコントロール機能や歩行者、自転車をも対象としたプリクラッシュセーフティ機能を実現した運転支援システム「次世代ADA(Active Driving Assist:アクティブ・ドライビング・アシスト)」を開発した。今後、各機能の商品性を確認したうえで、2008年からスバル レガシィに搭載して日本で発売する予定。
「次世代ADA」は、新型高性能ステレオカメラと新開発3D画像処理エンジンを用いることによって、従来からのふらつき警報や車線逸脱警報といった予防安全機能に、運転負荷軽減や事故回避支援のための以下の新機能を加えることが可能になり、安全性能をより一層向上させている。
1. スバルアドバンスドプリクラッシュセーフティシステム(仮称)
スバルとして初となるプリクラッシュセーフティシステムとして、独自のステレオカメラの特性を活かし、幅広く走行環境を検知することで、高い事故回避支援性能を実現している。
- 正面だけでなく、斜め前方の車両や自転車、歩行者などを検知することができ、必要に応じて警報での注意喚起やブレーキ制御を行うことで、事故の回避や事故による被害の軽減を支援する。
- 極近距離まで走行環境を検知することができ、渋滞時などの極低速時(時速15㎞以下の速度)でも必要に応じて警報での注意喚起やブレーキ制御を行い、事故の回避や事故による被害の軽減を支援する。【世界初*】
- 前方に障害を検知している状態で、ペダルの踏み間違いなどによる誤発進時に速度を低減させることで、事故の回避や事故による被害の軽減を支援する。【世界初*】
2. 全車速域追従クルーズコントロール
- 先行車との距離、速度差を検知。その情報をもとに、エンジン、トランスミッション、ブレーキなどを制御し、運転者が設定した車速と車間距離を維持する。
- 制御車速範囲をほぼ時速0km~100kmまでの幅広い範囲で設定を実現する。
- ステレオカメラのみで全車速域追従クルーズコントロール機能を実現し、車線などの走行環境を検知できる特徴を活かして、運転者の感覚にあったスムーズな制御を実現する。【世界初*】
*当社調べ
「次世代ADA」は、新開発のステレオカメラの高い検知性能や信頼性により、レーダーなどのセンサと組み合わせる必要がなく、また、カメラからの画像をステレオカメラユニットに内蔵される新開発3D画像処理エンジンで一括処理することで、システムの小型化とコスト低減を両立し、車両への搭載性を大幅に高めている。
「ADA」は、運転の主体となる運転者への情報提供や走行環境に応じた車両の自動的な制御など車両が不安定状態に陥ることを回避し、安全な運転を支援することを目的とし、2個のステレオカメラを人の眼のように並列に配置し、得られた映像データを独自の処理をすることで車両の走行環境を分析し、必要に応じて各種警報や制御などを行うシステムである。
ステレオカメラを用いた運転支援システムは、富士重工業が1999年5月に世界で初めて実用化に成功し、2003年8月に改良を加えて大幅に実用性を高めるなど、スバル独自の安全技術として開発、商品化を行ってきた。
富士重工業は、これまで「あらゆる環境下で、安全を最優先する」というものづくりの思想の下で、安全性能を追及しており、事故の発生を回避するアクティブセーフティと、事故時の被害を低減するパッシブセーフティの双方を高い次元でバランスさせることを目標としてきた。
アクティブセーフティの面では、人間工学とスバル独自の基準に基づく全方位視界の確保や、水平対向エンジンを核に低重心で左右対称のパワートレインを持つシンメトリカルAWD(All-Wheel-Drive)を基本として、走る、曲がる、止まるといった運動性能を追求することにより高い危険回避能力を実現している。
また、パッシブセーフティの面では、あらゆる方向からの衝突に対応するという“全方位安全”の思想に基づく「新環状力骨構造」をベースに、現実に起こりえるさまざまな衝突形態に最適に対応しえる車体構造となっている。
「次世代ADA」は、特にアクティブセーフティの面において、運転者の認識・判断能力を補うために前方道路情報を車両側が認識し、能動的にさまざまな制御を行うシステムであり、事故をおこさないクルマの実現に向け、核となる技術として位置づけられる。
【次世代ADAの機能概要(予定)】
機能 |
制御名 |
制御内容 |
運転負荷 軽減機能 |
全車速域追従クルーズ コントロール※ |
上記記載 |
前車発進モニター | 信号待ちなどで停車した際、前車が発進したことに気づくのが遅れた場合、メーター内ディスプレイの表示とアラームで発進を促す。 | |
予防安全 機能 |
車間距離警報 | 前車に近づきすぎたり、自車の前に急な割り込みが入ったときなど、警報音で注意を促す。特に衝突の危険がある場合は強いブレーキングを促す。 |
車線逸脱警報 | 走行中、車両が車線から外れそうになると、警報音で注意を促す。 | |
ふらつき警報 | 覚醒低下などに起因する車両のふらつきを検知し、メーター内ディスプレイの表示と警報音で注意を促す。 | |
事故回避 支援機能 |
スバルアドバンスド プリクラッシュ セーフティシステム※ |
上記記載 |
※次世代ADAの新機能