住友商事株式会社
2007 年7 月13 日
富士重工業と住友商事、大和ハウス工業の協力により、
屋外型清掃ロボットシステムを実用化、サービスロボット市場を拡大
富士重工業と住友商事は、エレベータ連動清掃ロボットシステムに、マンションでの使用を目的とした「屋外型」を新たに開発・実用化、大和ハウス工業の協力により、その初号機が東京都内の新築賃貸マンションに納入され、運用を開始する。
本システムは、自律式の無人清掃ロボットがエレベータによりマンション各階を独力で移動し、廊下など共有スペースの床面を清掃するというもの。現在オフィスビル向けに販売している屋内用のエレベータ連動式清掃ロボットシステムの技術をベースに、風雨にさらされる屋外での使用を前提としたマンションの清掃特性に適応させるため、新設計を施している。
主な特徴は下記の通り。
- マンションの各階の移動は、無人清掃ロボットとエレベータにそれぞれ設置された光伝送装置の通信によるドア開閉・行先指示で行われる仕組みとなっており、人がエレベータのボタンを押し乗降するのと同様の操作が可能。
- マンションの廊下の排水溝にたまる落ち葉や砂などを取り除けるように、ボディ前面右側下部にサイドブラシを装着。サイドブラシによってゴミをかき集めるとともに、底面中央部に取り付けられた大型パワーブラシによってゴミをホッパー(ゴミ収納ボックス)かき上げ、さらに吸引する方式を室内型清掃ロボットと同等のサイズで実現。
その対応として、前輪キャスタと、独立駆動の後輪2 軸による3 輪方式を採用。
- 風雨にさらされるマンション廊下での使用のため、ボディ内部や操作パネルに浸水しないように、ロボットを防水仕様化して対応。
- マンション住人との共存下での運用のために、安全への配慮を徹底。人との衝突を避けるための前面の障害物センサーやボディ下部の周囲に触れるとロボットが止まる計5 つのバンパースイッチ、足を巻き込まれないよう安全ガードを取り付けているとともに、周囲に作業中であることを知らせる音声装置や走行表示灯を装備。
- 作業記録用カメラをロボットの前後4 箇所に搭載し、ロボットの運用の開始から終了までをハードディスクに記録。作業時のロボット本体や周りの状況を検証できるよう画面再生装置も搭載。なお、本装置は警備にも適用可能。
このシステムを導入することにより、マンション施工会社や管理会社は、 マンションの共有スペース清掃の省人化や品質均質化を実現できるとともに、清掃の行き届いた気持ちのよい環境を住民に提供することで、マンションの付加価値を高めることできる。
今回納入された初号機は、大和ハウス工業が設計・施工し、大和リビングが貸主となる高級賃貸マンション「ロイヤルパークス新田(東京都足立区新田3 丁目)」に、納入され、運用を開始する。ロボットの外装には、インドネシアのバリ島をイメージした当該マンションのコンセプトにあわせたユニークなデザインやカラーを施し、住民から親しみがわくように、バリ島に古くから伝わる蛇の守り神をモチーフにした“トンドン”という愛称も採用した。
富士重工業は、これまで培ってきたロボットに関する技術や、経済産業省とNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「次世代ロボット実用化プロジェクト」で開発・実用化し、「愛・地球博」で実証した屋外型清掃ロボットのノウハウなどを活かしながら、経済産業省が公募した「サービスロボット市場創出支援事業」を活用して本システムを開発・実用化したもので、今後の新築マンションへの継続導入が期待されている。
富士重工業と住友商事は、サービスロボットの事業化に積極的に取り組んでおり、エレベータ連動清掃ロボットシステムは既に10 棟近い納入実績を持つほか、昨年12 月には経済産業省の「今年のロボット」大賞2006 の大賞を受賞している。