富士重工業 人とくるまのテクノロジー展2007 出展概要
富士重工業は、5月23日から横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2007」に、次世代リチウムイオン電池や、路面凍結情報による安全運転支援プロジェクトの紹介、2008年に欧州市場投入に向けて開発を進めている水平対向ターボディーゼルエンジン、今夏北米で発売予定の新型トライベッカに搭載する3.6L水平対向6気筒エンジンなどを出展する。
【主な出展について】
水平対向ターボディーゼルエンジン(日本初公開)
世界初の乗用車用水平対向ディーゼルエンジン。
水平対向レイアウト本来のメリットである高剛性、低振動特性を生かし力強い低中速トルクを持ちながら、バランサーシャフトを必要とせず、かつ同排気量のスバル水平対向ガソリンエンジン並みのコンパクトな設計を達成している。展示ではカットモデルのほか、映像でもその特長を紹介する。なお、このエンジンの搭載車を2008年初めに欧州市場で発売予定である。
3.6L水平対向6気筒エンジン(日本初公開)
3.0L水平対向6気筒エンジンをベースに、全域トルク拡大による動力性能向上と環境対応の両立を目指して新設計したエンジン。エンジン本体の外形寸法は3.0Lそのままに、ボアの拡大とともにストロークを伸ばして排気量を拡大、燃費を悪化させることなく高性能化を実現している。吸排気にアクティブバルブコントロールシステム(Dual AVCS)を採用、各シリンダーへの冷却水回路を変更し低中速トルクを強化しつつ、レギュラーガソリン対応とすることで、実質的な維持費の低減も図っている。なお、このエンジンは、今夏北米で発売する新型トライベッカに搭載する予定である。
電気自動車(EV)スバルR1e
環境に高い意識をもつ方の都市生活に適した移動体としてスバルが提案するパーソナルなコンパクトEV。東京電力と共同開発を行うことで協力し、現在10台が東京電力の業務車両として実証試験をかねて稼動中。さらに30台を7月までに追加する予定である。性能向上により15分間で約80%容量までの急速充電を可能とし、その高い利便性のほか、走行中の二酸化炭素排出ゼロの優れた環境性能、同クラスのガソリン車比で最大約1/8となる低いランニングコストなどを実現している。
次世代リチウムイオン電池
独自に開発したバナジウム系正極材料(V205)と、リチウムイオンを効率的に負極へあらかじめ吸蔵させる独自技術(プレドープ技術)との組み合わせにより、エネルギー密度を200Wh/㎏に高めた次世代リチウムイオン電池。このエネルギー密度の電池を電気自動車に搭載できれば、従来に比べ一充電当たり約2倍の距離の走行が可能になる。
路面凍結情報による安全運転支援プロジェクトの紹介
2006年冬、秋田県と北海道で行われたプローブカーに関する社会実験のプロジェクトの紹介。
富士重工業は、プローブカーとして実験車両を貸与したほか、電気自動車スバルR1eの実証実験にも採用しているスバル・ユーザ・コミュニケーション・システムの技術を提供している。実験では、車両におけるABS(アンチロック・ブレーキ・システム)などの作動情報や、通常走行時のわずかな速度変化とそのときの路面に対するタイヤのスリップ率の変化との関係などから推定した路面の滑りやすさの判定情報を収集し、GPS から取得した位置情報を加えて専用ホームページを通じて情報提供を行った。こうした情報により、ドライバーに注意喚起を促し安全運転を支援するものである。秋田県の場合、「つるつる路面ナビゲーター」と命名し、国土交通省、秋田県、秋田市といった行政や、秋田大学、インターネットITS 協議会などの大学や団体、タイヤメーカー、自動車販売会社や保険会社など産学官が連携して進めた取り組みである。
先進予防安全技術
環境認識に優れたステレオカメラ技術をコアとした次世代の運転支援システムの紹介。
富士重工業は、これまでにも独自開発のステレオカメラ技術により、世界に先駆けて運転支援システムADA(Active Driving Assist)を商品化してきた。その技術をさらに高め、歩行者認識、衝突防止支援制御、全速度域追従クルーズコントロール機能などの機能を追加し、交通事故の撲滅のために“ぶつからないクルマ”の実現に向けて研究開発を進めている。
香りの空気砲
嗅覚を用いたドライバーとクルマのコミュニケーション技術を具現化したもの。
ドライバーの意識が“香り”に影響を受けることから、これまでの視覚や聴覚以外の訴求方法として空気砲で各種の香りをドライバーへ噴射し、ドライバーの運転状態の適正化を図る研究開発を進めており、その成果を紹介する。会場では、実際に体感できるよう、来場者に香りを噴射するデモ機を用意している。
スバル・ユーザ・コミュニケーション・システム
顧客の車両状態を、移動体通信網などを活用して遠隔収集し、分析結果を情報提供するサービス。車両の故障診断やメンテナンス状況を管理することで顧客の車両使用に対する安心感を高め、満足度向上を図ることを目的としている。このシステムを電気自動車スバルR1eに搭載し、走行状況、バッテリ状態把握などに応用している事例を紹介する。