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2003年8月27日


富士重工業、ステレオ画像認識を用いたドライバー支援システム
「ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」を改良




  富士重工業(竹中 恭二社長)は、同社が1999年5月に世界で初めて実用化に成功したステレオ画像認識を用いたドライバー支援システム「ADA」を、視界不良時などの、より幅広い走行環境下で使用可能なものに改良、来月9月に日本で発売する新型スバル レガシィ ツーリングワゴン 3.0R に搭載グレードを設定する。

  「ADA」は、運転の主体となるドライバーへの情報提供や走行環境に応じた車両の自動的な制御など、車両が不安定状態に陥ることを回避し、安全な運転を支援することを目的としたシステムである。今回の新しいシステムは、2基のCCDカメラを用いたステレオ画像認識装置に加え、新たに採用したミリ波レーダーを用いて自車の前方状況を把握するとともに、その他のセンサーから得られる情報で構成。従来からの4つの機能、1.車間距離制御クルーズコントロール、2.車間距離警報、3.車線逸脱警報、4.VDC (Vehicle Dynamics Control:横滑り防止装置)プレビュー制御に、以下の新しい4つの機能を加え、安全な運転を支援する。

1.追従モニター、2.ふらつき警報、3.グリップモニター、4.前車発進モニター

  ミリ波レーダーは雨や霧の影響を受けにくく、ステレオ画像認識装置に比べ、より遠方までの距離の計測が可能である。これを車線や前方状況を3次元で把握するステレオ画像認識装置と組み合わせ、複数のセンサーを融合する「センサーフュージョン技術」により、ADAのシステムを改良。新しい「ADA」は、悪天候による視界の低下などの影響が少なく、同一システムを備えた他車との干渉のない、広い視界領域をカバーできるシステムとなり、車両進行方向の道路環境をさまざまな気象条件で、より広範囲かつ高精度に把握することが可能となった。

  加えて、車間距離制御クルーズコントロールの車速制御方法として、スロットル制御にブレーキ制御を加えることにより機能を充実するとともに、より緻密な制御を行うなどさらなる実用性の向上を図っている。

  また、「ADA」の特徴的な機能としては、滑りやすい道路で障害物を回避する時の操縦安定性を向上させるスバル独自のVDCプレビュー制御があげられる。障害物との距離と路面の滑りやすさ、路面μから障害物を回避するのにブレーキによる制動だけで可能なのかどうかを事前に認識し、制動による回避が困難な状態でさらにVDCが作動する場合には実際に車両が障害物回避動作に入ると判断、VDCの制御特性を安定性向上モードに変更し、車両の安定性を最適にバランスさせる機能である。

  富士重工業は、これまでクルマの安全性に関して、「トータル安全」という思想で、事故を防ぐための「アクティブセイフティ」と事故時の障害を低減する「パッシブセイフティ」の双方を、高い次元でバランスすることを目標としてきた。
  「アクティブセイフティ」の面では、人間工学とスバル独自の基準に基づく全方位視界の確保や、水平対向エンジンを核に低重心で左右対称のパワートレーンをもつ「Symmetrical AWD」を基本として、“走る”“曲がる”“止まる”といった運動性能を追求することにより高い危険回避能力を実現している。また、「パッシブセイフティ」の面では、あらゆる方向からの衝突に対応するという「全方位安全」の思想に基づく「新環状力骨構造」をベースに、現実に起こりうるさまざまな衝突形態に最適に対応し得る車体構造としている。

  今回の新しい「ADA」は、「アクティブセイフティ」の面においてドライバーの認識・判断能力を補うために前方道路情報を車両側が認識し能動的にさまざまな制御を行うシステムであり、安全性に対する基本的思想である「トータル安全」を、さらに推し進める技術として位置づけられている。

1.機能の概要
制御名 制御内容
車間距離制御
クルーズ
コントロール
自車線内に先行車がいない場合は、セットした車速で定速走行。先行車に追いついた場合は、適切な車間距離を保ちながら走行できるようスロットルとブレーキによって車速を自動的に制御する。先行車がいなくなると再び設定車速まで加速する。
車間距離警報 自車線内の先行車に近づきすぎたり、自車の前に急な割り込みが入ったときなど、警報音でドライバーに通知する。特に衝突の危険がある場合は強い警報音でブレーキングを促がす。
車線逸脱警報 走行中、車両が車線から外れそうになると、警報音でドライバーに通知する。
VDC
プレビュー制御
前方の対象物との距離情報などから、制動のみでは危険回避できないと判断した場合、ドライバーの危険回避操作によりVDC(Vehicle Dynamics Control)が作動する前に、VDC制御の特性を変更して、危険回避後の車両の挙動収束性を向上させる。
追従モニター 自車線の先行車や対向車との車間距離をセンターディスプレイ表示によって知らせ、降雨や霧、雪などの視界不良時でも安心感のあるドライビングをサポートする。先行車に自車が一定以上の速度で接近している場合には、警報音で知らせる。
ふらつき警報 覚醒低下などに起因する車両のふらつきを検知し、センターディスプレイ表示や警報音によって注意を促がす。
グリップモニター VDCからの情報を元に、舗装路から雪道、凍結路まで、刻々と変化する路面状況に応じたタイヤのグリップ力の変化を予測し、センターディスプレイに表示する。
前車発進モニター 信号待ちなどで停車した際、先行車が発進したことに気づくのが遅れた場合、センターディスプレイ表示とアラームで発進を促がす。
2.システム構成
(1) 前方道路環境を認識するステレオカメラの画像およびミリ波レーダーからの信号はイメージプロセッシングユニットに入力され、認識対象物との距離データなどに変換される。
(2) このデータとVDCなどから得られる車両の走行状態情報が、ADA機能を統括するプレビューコントロールユニットに入力され、警報・制御の最終的な要否判定が行われる。
(3) これらの判定に応じて、コンビネーションメーター内の警報灯およびブザー、音声などでドライバーに警報され、クルーズコントロールユニット、VDC(Vehicle Dynamics Control)などで走行制御が行われる。

 

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