2002年3月7日
富士重工業(竹中 恭二社長)は、このたび可燃ゴミとして袋に入れられ収集された廃棄物を、人の手を介さずに自動的に有機物(生ゴミなど)と可燃物(袋、容器など)および不燃物の3種に分別処理する「有機物分別前処理システム」を開発し、その実証装置を茨城県つくば市の分離試験場に設置した。
従来、一般家庭から収集される可燃ゴミには、生ゴミと可燃物が混在して袋に詰められており、リサイクルを検討する際、肥料や飼料などへの活用あるいはバイオガス燃料などへの再利用が可能な有機物と、それ以外の可燃物に分別することが困難であった。またコンビニエンスストアなどの賞味期限切れの食料品は、容器入りのままゴミとして出されることがほとんどであり、一般家庭ゴミ同様食品残渣(ざんさ)と容器などの可燃物に分別することが難しかった。
富士重工業は、この点に着目し、こうした廃棄物を大量、高速、効率的にリサイクルするための分別前処理システムとして処理能力500kg/時間の実証装置を開発することに成功した。投入された廃棄物は三段階のほぐし分離機能により、有機物と可燃物とに完全に分離処理することが可能。更に攪拌分離機能として加熱蒸気を直接噴射した後の乾燥工程を持つ為、分別された有機物の含水率調整も可能なことから、その後のリサイクル処理も容易になる。
実用システムとしては、1ラインにつき1t/時間から3t/時間の連続処理を基本構成としており、マルチライン化により更なる大量処理も可能である。投入部の構造は、現在の塵芥収集車による収集方法でそのまま運用できるよう配慮されており、収集方式を変えるなどの負担は発生しない。また分別処理に限定することでシンプルな構成となっているため、低コストで堅牢かつ保守も容易である。
同システムは、富士重工業の技術研究所が開発を担当し、自治体や処理業者の協力を得ながら各種の実証試験を経て完成した日本初のシステムである。広域収集によるゴミの減量化や脱焼却を計画している自治体および広域組合向け、さらには飼料化プラント、コンポストプラントおよびバイオガス製造プラントの前処理システムとして多くの需要が見込まれ、今後積極的に販売促進を図っていく。
また、自動車の廃車リサイクルへの取り組みで課題となっているシュレッダーダストの処理についても、本実証試験装置の分別技術を応用し、低コストで重金属を分離する試験に成功しており、今後実用化を図ることでこの分野にも大きく貢献できるものと期待している。
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