2001年7月11日
富士重工業(竹中 恭二社長)は、人工衛星を活用し、屋外において作業用車両の無人運転を可能とする「屋外自律走行ロボットシステム」を開発した。
このシステムは、複数の人工衛星を活用したディファレンシャルGPS(GPS:Global Positioning System、汎世界測位システム)と地磁気方位センサおよび距離センサからの情報によって、誤差200mm以下の高精度で自己の位置を認識し、予め記憶させておいた経路を走行しながら所定の作業を行うことができるものである。同社の技術研究所が開発を担当し、30件を超える特許を出願するとともに、さまざまな環境での試験を通じて同システムを完成させた。
同システムは、農機・建機などの既存の作業用車両に簡単な改造で搭載することができる。その採用により車両の自動運転を可能として、作業の効率化や省力化、危険作業の無人化による災害防止、さらには厳しい気象条件下や深夜作業時の作業者の負担軽減など、作業環境の大幅な改善を図ることができるものである。
富士重工業では、このシステムを実用化するため、芝刈機・草刈機専門メーカーである共栄社(林 雅巳社長)と契約を結び、乗用三連ロータリ草刈機をベースに同システムを搭載した草刈ロボット(製品名バロネス「ナビモア」)を共同開発している。
この草刈ロボットは、切替えレバー操作によって有人運転と自動運転に切替えが可能。作業者が有人運転で行った作業内容および走行経路を最大120時間分まで記憶させることができ、それに従って自動運転を行うため、複雑な自動運転プログラムの作成が不要であり、特別な技術を必要とせず誰にでも容易に取り扱うことができる。また、障害物センサなど各種センサを備えた危険回避機能により、高い安全性も確保している。
富士重工業は、今後、この屋外自律走行ロボットシステムを農機・建機だけではなく、倉庫など屋外施設の警備や点検、荷物の運搬や散水といった繰り返し作業が多く、安全性の確保や省力化のニーズが高い分野で、広く適用可能なシステムとして、適用の拡大を計画している。
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