2001年4月26日
富士重工業株式会社 富士重工業(田中 毅社長)とディライト(林 正基社長)は、自動車の電着塗装工程における塗装膜厚をコンピュータでシミュレーションすることができる解析ソフトウェアを共同開発し、そのソフトウェアを2001年5月より販売する。 今回の共同開発は、塗料メーカーの神東ハーバーツ・オートモティブ・システムに塗料の物性に関するデータの協力を仰ぎながら、富士重工業が持つ実際の塗装ラインのノウハウと、ディライトが持つコンピュータシミュレーションソフトウェア開発のノウハウを生かしたものである。 今回開発されたソフトウェアは、コンピュータの仮想空間上において車の試作を行い、電着塗装時の塗装膜厚をシミュレーションするというもの。単純な形状に対する実験では、予測値と実測値との誤差は約10%の範囲にあるほか、自動車の実際の部品を対象とした大規模な解析でも、高い精度の結果が得られている。これにより、新車の開発時に大きな負担となっていた電着塗装の品質確保のために行われる試作や実験の回数を減らすことができ、開発期間の短縮や開発コストの削減を見込むことができる。 コンピュータを用いたシミュレーションをする場合、対象を有限個の格子に分割して全体像を表現する。その際、精度を高めるには多くの格子を必要とするが、このソフトウェアの特徴は、解析用の専用機を用いることなく、一般的に使用されているパーソナルコンピュータを用いて、100万から200万という詳細な格子を容易に扱うことができることである。また、今までは、構造解析や流体解析を実施しようとする時、形状データの準備や格子の作成に相当な工数がかかるほか、解析の知識を身につけた専門家が必要とされていた。このソフトウェアを用いることで、解析に関する知識がほとんどない設計者が、前処理を含めて1日から数日程度で解析結果を得ることができ、解析業務を日常的な業務とすることが可能となっている。 電着塗装は、自動車車体の防錆用下塗り塗装として広く採用されているが、全体を均一に塗装をするためには、車体部品の形状や塗装ラインの条件設定など、さまざまな調整を必要とし、これまでは試作と実験の繰り返しで行われてきた。また、調整の結果、車体構造の変更をともなう場合は、衝突性能の安全性解析を再度実施しなければならなく、効率の改善が望まれていた。このソフトウェアでは、衝突解析などのデータを共有化することができ、衝突解析面での要求と電着塗装時の要求の両者を満たす最適な形状を、効率良く決定することも可能である。 このソフトウェアの販売、顧客へのサポート、バージョンアップなどは、すべてディライトが担当する。価格は、1,200万円(Windows NT版、Linux版)。当面、国内のみの販売となるが、米国、欧州での販売も予定している。 |
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【 株式会社ディライト 概要 】 | ||||||||||||||||
最先端の技術を持つ組織をパートナーとして、流体力学関連の物理現象をシミュレーションするソフトウェアの開発、マーケテイング、販売、サポートを実施しているディライトグループ6社のシンボルとなる会社。各ソフトウェアとも、社外の専門スタッフがサポートを担当している。 | ||||||||||||||||
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【 神東ハーバーツ・オートモティブ・システム株式会社 概要 】 | ||||||||||||||||
自動車用塗料の販売並びに技術サービス及び技術開発を主たる事業内容とする。 1997年10月、神東塗料株式会社から分離した自動車用塗料部門が、ドイツの自動車用塗料会社ハーバーツ社の50%資本参加を得て合弁会社となる。なおハーバーツ社は、1999年3月、ヂュポン社に買収されて、ヂュポンパフォーマンスコーティング社に社名変更されている。 |
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