富士重工業(社長:田中 毅)は、関係会社で自動車、鉄道車両、航空機、環境関連システムなどの研究開発を行うスバル研究所(社長:佐伯
信正)の協力で、このたび、自操式車椅子利用者および介護者の肉体的負担軽減を目的とした車椅子パワーアシストユニットを開発した。
今回開発したユニットは、自操式の車椅子に装着し、内蔵した電動モーターを制御し、モーターの力で、使用者自身が車椅子の車輪を回す(ハンドリム操作)力や介護者が車椅子を押す力を補助するものである。電源にはバッテリーを搭載し、1回の充電で2~3時間の連続走行が可能。
ユニットの操作には自操モード、介助モードの2種類があり、自操モードでは車椅子使用者の通常のハンドリム操作においてパワーアシストを作動させ、軽い力で走行することが可能なほか、ジョイスティックを取り付けることにより、電動車椅子同様スティック操作による走行も可能なよう配慮をしている。介助モードでは、介助者が車椅子を押すだけで無理なくパワーアシストが働いて、介助者の負担を大幅に軽減する。
このユニットは、一般に市販されているほとんどの自操式車椅子へ、専用のアタッチメントなどを用いずにスイッチ操作一つで着脱が可能で、車椅子使用者にとっては普段使い慣れた自分の車椅子をそのまま使いつづけることができる。また、一台のユニットで複数の車椅子への対応も可能であり、高齢者介護施設や病院などに常備し必要に応じて車椅子に装着することで、車椅子使用者の肉体的な負担軽減と同時に行動範囲の拡大なども図れ、リハビリテーションの促進補助用機器としての用途も期待できる。
当面は高齢者を対象に病院、介護施設、エンターテイメント施設などでの試用を進め、2年以内の商品化を目指す。
なお、スバル研究所では、平成12年9月12日~14日に東京国際展示場で開催される「国際福祉機器展」の富士重工業株式会社 福祉グループ・ブースに、この試作機を参考出展する。