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平成12年5月24日
ご参考

富士重工業 民間用ティルトローター機 BA609プロジェクトに参画

 富士重工業(田中 毅社長)は、このたび、世界初の民間用ティルトローター機ベル・アグスタ609(以下BA609)のプロジェクトに参画し、全胴体構造及びシステム取付を担当する契約を米ベル・ヘリコプター・テキストロン(テリー・スティンソンCEO、以下ベル)と締結した。

 今回締結した契約は、富士重工業が開発リスク、市場リスクを負いプロジェクトに参画、BA609のコックピット(機首)部、キャビン(客室)部、後部胴体からなる胴体全体の構造の部品製作および組立と、ベルから支給される油圧機器、電子機器、操縦系統などの装備品の取付を行い、ベルに納入するというもの。富士重工業は、平成14年に納入開始を計画している。

 BA609は、ベルが伊アグスタ(アメディオ・カポラレッティ社長)と共同で開発中の民間用ティルトローター機であり、主翼の両端にあるプロペラの向きを上方と前方に変えることが可能という特長を持つ。プロペラを上向きにしたときはヘリコプター同様、垂直離着陸、ホバリング(空中停止)を行うことができ、プロペラを前向きにしたときはターボプロップ機並みの、一般的なヘリコプターの約2倍のスピードと航続距離を実現する。最大巡航速度は275ノット(約510km/h)、最大航続距離は750海里(1,400km)。エンジンを主翼両端に双発装備し、3枚のブレードからなる直径7.93mのプロペラを回転させる。大きさは全長13.31m、最大幅18.29m(ブレード先端幅)、全高4.57m、最大離陸重量は7,250kg。標準旅客仕様であれば9席の客席を設けることができる。平成15年春までに型式証明を取得する予定で、捜索救難、警察、VIP輸送、資源探査、救急医療などの分野での需要が見込まれ、将来的に約一千機の需要を見込んでいる。

 ベルは、世界的なヘリコプターのリーディング・カンパニーであり、ティルトローター機では軍用機であるV―22オスプレイを米ボーイング(フィリップ・コンディットCEO)とともに実用化している。なお、BA609の開発にあたり、アグスタと共同で、BA609の設計・開発・製造・市場調査・顧客支援を行うためのベル・アグスタ・エアロスペース(ジム・ロジャース マネージングディレクター)を1998年に設立している。

 富士重工業は、ベルと民間ヘリコプター分野で長期にわたり良好な関係を持っており、204B、205Bヘリコプターをベルのライセンス下で生産しているほか、ベルのヘリコプター修理認定工場として民間ヘリコプターの整備、修理事業も行っている。このBA609契約の締結は、富士重工業にとってベルとの民間航空機事業分野での関係を拡大する大きなステップとなる。

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